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落語楽 - わかりやすい落語の噺 -

落語の噺を綴ってます

【落語】薬缶なめ(やかんなめ)

季節がら梅が見ごろだと聴き、お供を連れて見物に来たある大家の奥様。

言問橋のたもとまで来た所で、持病の「癪(シャク)」が起きてしまった。

癪(シャク)・・・俗に、腹や胸に発作性の激痛をひきおこす病気の総称。

七転八倒する奥様を前に、オロオロするお供の目に、道を歩く二人の男の姿が飛び込んできた。

「お待ちください!」

お供が声をかけたのは、たまたま通りかかった二人連れの侍、八五郎と源兵衛だった。

「奥様が今、持病のシャクで苦しんでおります。奥様のシャクには薬缶(やかん)をなめるのが一番。しかし、このへんにはなく、難渋していたところです。」

「で、それと俺たちに、いったい何の関係があるんです?」
首をかしげる源兵衛の頭を、お供はまっすぐに指差した。

「貴方の頭を、奥様になめさせてください」

実は源兵衛、まだ四十なのにもう頭がピカピカ。要は、源兵衛のヤカン頭を本当の薬缶に見立て、お嬢様になめさせる事でシャクを鎮めようという訳。

唖然となった源兵衛だが、人の命には代えられない。不承不承、ヤカン頭を差し出すと、奥様は遠慮なくその頭をベロベロ。

そのうち急に発作が起きたと見え、頭を思いっきりガブリ。

「御免なさい!どこかに、お傷がついてはおりませんか?」

「なーに、傷はつきましたが、漏ってはいません」

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丈夫な頭で良かったです。

from のも

【落語】初天神(はつてんじん)

良く晴れた1月25日、男が天満宮に参拝に出掛けようとした。

すると女房は息子も連れていってくれと頼む。

男は息子が物を買ってくれとうるさくせがむのが分かっており、乗り気ではなかったのだが折悪しく外から息子が帰ってくる。

どうしても付いていきたいと懇願する息子をつっぱねると、ヘソを曲げた息子は隣の親父のうちへ出かけて行く。

『面白い話聞きたくな~い?あのね、昨日の夜の、うちのおとっつぁんとおっかさんの、おはなし』

そんな事を外で話されては堪らないと、大慌てで息子を連れ戻した男は、渋々息子を初天神に連れていくのだった。

天満宮への道を歩きながら、父は息子に買い物をねだるなと念を押す。

しかし息子は
「ね、おとっつぁん、今日はおいらあれ買ってくれーこれ買ってくれーっておねだりしないでいい子でしょ」
「ああ、いい子だよ」
「ねっ。いい子でしょ。ごほうびに何か買っておくれよ!」
これではいつもと同じである。

様々な果物を買えと催促するが、父は「体に毒だから」と無理な理屈で拒否する。

しかし、息子が余りに煩いので口塞ぎの為に、止むを得ず飴玉を買い与える。

店先で売り物の飴を散々ねぶり回して吟味する父に飴屋の親父もあきれ顔。
飴を与えられて御機嫌の息子は、飴を舐めながら歌を歌う。

二人は天満宮の参拝を終えた。
息子は、凧を買ってくれるよう催促する。
「あの1番大きいのがいい」
「馬鹿だな、ありゃあ店の看板だい」
「売り物ですよ。坊ちゃん、買ってくんなきゃあすこの水溜りに飛び込んで着物汚しちまうってお言いなさい」
「変な入れ知恵すんねえ!」
しぶしぶ凧を出店で買い与え、天満宮の隣に有る空き地に息子を連れて行く。

凧揚げに関しては子供時代腕に覚えがあったと息子に自慢しつつ、父はまず自分がと凧を揚げる。
そのうちすっかり夢中になってしまい、凧を揚げさせてくれと脇から催促する息子を
「うるせえっ!こんなもなァ、子供がするもんじゃねえんだい!」
と一喝して凧を渡そうとしない。

無邪気に遊ぶ父の姿を見て呆れた息子は

「こんな事なら、おとっつぁんなんか連れてくるんじゃなかった。」

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この噺は、どの箇所でもサゲられるようになっていて、時間調整が効く噺という利点があります。このため最後まで演じられることはそれほど多くはないとの事です。

【落語】池田の猪買い(いけだのいのししがい)

冷え気(冷え性)に悩む男が丼池の甚兵衛さんに相談に来る。

「それなら猪(しし)の肉がええ。心安うしている池田の狩人・六大夫さんとこ行っといで、紹介状書いてやるさかい。」
と、親切に行く道まで教えてもらう。

男は物覚えが悪く行く先々で道を尋ね、農民を閉口させながら池田まで辿り着く。

男は狩人六太夫の家を訪ね「どうせなら新しい肉が欲しい。ちょっと猪撃ちに行ってんかいな」と頼み込む。

六太夫は渋ったが、男の「今日のような日は猟が立つ」とのせりふに折れ、男を連れて山に行く。

丁度つがいの猪を発見し、狙いを定める六太夫に男は横から、
「わあ、さぞ猪の肉うまいやろなあ」
「オスとメスどちらがうまいか」
「帰ったら食わせて」
「米炊いてんか」
「酒あるか」
などといろいろと下らないことを質問する。

しまいには狙い通り撃って倒した猪を、「あの猪は新しいか」と聞く始末。

頭に来た六太夫、猪を鉄砲の台尻でぶったたく。
猪は本当に弾が当たって死んでいたのではなく、鉄砲の音と至近弾で目を廻していただけであったため、そのはずみで目を覚まして逃げていく。

「どうじゃ。客人。あの通り新しい」

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何事もホドホドがいいのかもしれませんね。

from のも