【落語】池田の猪買い(いけだのいのししがい)
冷え気(冷え性)に悩む男が丼池の甚兵衛さんに相談に来る。
「それなら猪(しし)の肉がええ。心安うしている池田の狩人・六大夫さんとこ行っといで、紹介状書いてやるさかい。」
と、親切に行く道まで教えてもらう。
男は物覚えが悪く行く先々で道を尋ね、農民を閉口させながら池田まで辿り着く。
男は狩人六太夫の家を訪ね「どうせなら新しい肉が欲しい。ちょっと猪撃ちに行ってんかいな」と頼み込む。
六太夫は渋ったが、男の「今日のような日は猟が立つ」とのせりふに折れ、男を連れて山に行く。
丁度つがいの猪を発見し、狙いを定める六太夫に男は横から、
「わあ、さぞ猪の肉うまいやろなあ」
「オスとメスどちらがうまいか」
「帰ったら食わせて」
「米炊いてんか」
「酒あるか」
などといろいろと下らないことを質問する。
しまいには狙い通り撃って倒した猪を、「あの猪は新しいか」と聞く始末。
頭に来た六太夫、猪を鉄砲の台尻でぶったたく。
猪は本当に弾が当たって死んでいたのではなく、鉄砲の音と至近弾で目を廻していただけであったため、そのはずみで目を覚まして逃げていく。
「どうじゃ。客人。あの通り新しい」
何事もホドホドがいいのかもしれませんね。
from のも